2020年の10月に登場したGA4(Google Analytics 4)はリリースから約一年経ち、今後は導入の加速が予測されます。これからのデジタルマーケティングで最強の武器となるGA4ですが、現状はリリースから複数回アップデートが行われ、まだ開発途中のツールでもあります。
GA4のベストプラクティスはまだ模索している段階なので、マーケターの皆さんも「GA4をどう活用したらいいのか」「そもそもGA4にいつ移行するべきなのか」と思案されているのではないでしょうか。
今回はマーケティング活動に応じたGA4への移行時期、タイミングと、GA4のメリット、前時代のユニバーサルアナリティクス(旧GA)との並行運用などを解説します。
記事の内容
- 現状のGA4への移行状況
- GA4とユニバーサルアナリティクスの違い
- GA4への移行、導入のメリット
- GA4への移行、導入をおすすめするケース
- GA4とユニバーサルアナリティクスの並行運用
現状のGA4への移行・導入状況は?
マーケターの皆さんであれば意識しているGA4ですが、実際の移行・導入状況はどうでしょうか。弊社チーフテクノロジーマネージャー・山田良太の独自調査では、上場企業のGA4導入率は8.26%という結果が出ました。「少ない」という印象を受けてしまう数値ですが、だからといって「まだまだ移行しなくていい」と安心はできないと考えます。この導入率8.26%という数値は、上場企業のコーポレートサイトを対象にした調査となります。上場企業はウェブサイトを「事業サービス」「コーポレート」と分けて運用しているケースが多く、マーケティング活動としては事業サービスの方を優先にしていると推測され、GA4の移行・導入率としては実態よりも低い数値として出ている可能性も高いでしょう。
もうひとつのデータとして、プリンシプルのGA4に関するウェビナーに参加した80社へのアンケートでは半数以上が「GA4を導入済」と回答しています。事業会社の中でもデジタルマーケティングに力を入れてアンテナを張っている層では、むしろ「まだGA4に手をつけていない」という状態では遅すぎるとも言えるようです。ただこのアンケートで導入している企業も「GA4の活用イメージはついていない」と答えた方も圧倒的に多く、導入はしているもののまだ完全移行には至っていないようです。
GA4の移行・導入メリットは?
GA4の具体的な特徴やメリットを、ユニバーサルアナリティクスとの違いにも触れながら紹介します。
GA4はウェブサイトとアプリを横断して分析できる
従来はウェブサイトは「ユニバーサルアナリティクス」、アプリは別のプラットフォームと分析ツールが別々になっていて、レポーティングの効率が悪く煩わしさがありました。
GA4の大きな特徴としてウェブサイトとアプリの両方のデータが統合されたことで、GA4のみでウェブとアプリを横断した消費者行動の分析が可能になりました。
例えば「ウェブで閲覧して欲しい商品を見つけて、アプリで購入」という消費行動では、これまでのユニバーサルアナリティクスだと「ウェブで閲覧した人」「アプリで購入した人」は別々のユーザーとしてカウント・分析されます。ところが実際のユーザーは一つのプラットフォームではなく、ウェブとアプリをまたいだ消費行動を取る方は多くいるでしょう。GA4ではこうしたプラットフォームをまたいでユーザーのジャーニー全体を分析することも可能になりました。
GA4は機械学習機能でLTVが出やすいユーザー像を抽出できる
GA4のもう一つの大きな特徴は機械学習機能です。GA4ではデータを蓄積するだけではなく、どういうユーザーが「購入につながりやすいか」「LTV(Life Time Value)が高まりやすいか」の機械学習での自動分析を可能にしました。
機械学習で自社へのビジネス貢献度が高くなりやすい傾向のユーザーを抽出することで、広告のターゲティングにも活用できます。
GA4への移行・導入をおすすめするケースは?
ウェブとアプリをまたいで顧客理解・分析をしたい
具体的にはウェブサイトだけでなく、アプリも併用してサービス提供しているケースです。このようにユーザー行動でツールがまたがっている場合は、GA4に統一してレポーティングできることで、効率もよく分析の質も向上します。
自社のターゲットを知って新規獲得に活かしたい
GA4の機械学習機能でどんなユーザーがLTVが伸びやすいのか抽出・セグメントも可能。長期でデータを貯めることで、具体的なターゲティングによって新規ユーザー獲得など多面的なマーケティングに活用できます。
認知獲得(ブランディング)広告に力を入れている
従来のユニバーサルアナリティクスでは、認知獲得の成果は計りづらかったのですが、GA4では機械学習機能によって「LTVが伸びやすい」「ビジネス貢献につながりやすい」ユーザーを予測機能で抽出し、そのデータをGoogle広告と連携できるのも特徴です。GA4によって、これまでよりも認知獲得に向けた広告活動と効果測定が可能になりました。
ユーザーアクションに合わせてカスタマイズしたい
GA4はイベントを実装して、ユーザーアクションをイベント機能で捉えられるのも特徴です。イベント機能追加で自社のユーザー行動に合った分析へと機械学習の精度が上がるので、より自社ユーザーにフォーカスして行動を追うことも可能です。
GA4とユニバーサルアナリティクスの並行運用
紹介したようなGA4のメリットを享受できる場合は、早めの導入をおすすめします。また今は様子見という場合も取り急ぎGA4のデータを貯めて並行運用はいかがでしょうか。 GA4と既存のユニバーサルアナリティクスは、データ活用の方向性が違い全く別物なので並行運用が可能です。
ユニバーサルアナリティクスからGA4への完全移行・切り替えには、いくつものハードルがあります。GA4ではこれまでのユニバーサルアナリティクスで慣れ親しんでいた「直帰率」「コンバージョン率」などセッションスコープの指標が使えなくなり、「エンゲージメント率」「LTV」などユーザースコープの指標に変わっていきます。
今まで多くの企業ではマーケティング評価、レポーティングの中心はセッションスコープだったため、GA4に軸足を移してから自社でどの指標をマーケティングの評価軸として置くのかの検討も必要になります。
そのための社内コンセンサスや、広告を代理店に依頼している場合は代理店とのすり合わせ、合議も必要となります。「タグを変えるだけで移行できる」といった簡単なものではないため、GA4への移行に向けて少しずつ準備を進めましょう。
まとめ
いつGA4に移行するか、軸足を置くかについては、まだアップデートが続いているタイミングなので、一概には難しく、各企業様がデジタルマーケティングのどこに主軸を置くかなどのケース・バイ・ケースと言えます。
GA4メリットを享受できるのであれば、すぐに導入してPDCAをまわすことをおすすめします。またそうではないケースでも、いずれユニバーサルアナリティクスは遠くない将来にサポート終了となる可能性が高いため、並行運用してデータを蓄積しておくのがベターです。
プリンシプルでは「GA4の活用イメージがわかない」「GA4移行にあたって、まず何をしたらいい?」といったお悩みを持つ企業様のGA4導入を支援いたします。お気軽にお問い合わせください。
【GA4関連ブログ】
- Googleアナリティクス4徹底解説 マーケターが押さえるべき知識と対応
- GA4への移行リアルストーリー Vol.1/エンゲージメント率がほぼ100%!なにが原因?
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