私はプリンシプルでSEOコンサルタントとしてのキャリアをスタートする前、サイトのUX設計に携わっておりました。具体的には、サイトに流入してくるユーザーに対し「どのようにもてなし、どういった導線へ案内するか」を考え、ページコンテンツに落とし込むお仕事です。
その仕事の中では、「コンテンツの構成要素(テキスト、リンク、画像など)」「構成要素の配置や大きさ」「閲覧後に誘導するアクション」などを、データなどとにらめっこしながら常に考えておりました。
そんな私が今SEOコンサルタントに従事して実感していること。それは、やはり「SEOとUXは密接に結びついている」ということです。
SEO対策によってLPへ集客できても、UX視点がなければ離脱を招き、SEOを行う本質的な意味がなくなってしまいます。したがってLPにはSEO対策だけでなく、ユーザーを満足させるUX設計も必要になります。
そこでこの記事では、かつてUXの設計に携わっていた私だからこそ考える、LP作りで最低限踏まえておきたい基本ポイントをご紹介します。
私がLP作りの際に重要であると考える基本ポイントは以下の2つです。
- 検索意図と対応ページの明確化
- スムーズに答えが見つかるコンテンツ作り
ポイント1.検索意図と対応ページの明確化
LP作りにおいて重要なことは、「検索意図の明確化」と「対応ページの明確化」です。
- 検索意図の明確化:サイトにすでに流入をしている、もしくは流入を期待できるクエリの検索意図がどのようものか明確にする
- 対応ページの明確化:その検索意図に対して、どのページで答えるか決める
なぜなら、これらが明確でなければ、訴求するコンテンツの構成要素を決めることができないからです。
例)家電を販売するECサイトで取り扱われる「ブランドA」
- 流入クエリ:「ブランドA 湯沸し器」
- 対応ページの候補:「ブランドAの湯沸し器一覧ページ」「ブランドAの湯沸し器特集」など
この「ブランドA 湯沸し器」というクエリの検索意図は「ブランドAの特定の湯沸し器を見たい」というよりは、むしろ「ブランドAの複数の湯沸し器を見たい」もしくは「ブランドAの湯沸し器の基本情報を見たい」という検索意図が考えられます。
そのため、このページで訴求するべきコンテンツの構成要素としては、「商品番号」のテキスト情報などような粒度の小さいものよりも、「ブランドAの湯沸し器」の商品詳細ページへのリンクや、それぞれの商品を見やすく比較した情報の方が優先順位が高くなります。
このように「各クエリに対して、どのページで対応させるか」を明確にすることで、ページコンテンツの構成要素を決定することができ、仮に対応するページがない場合は新たに作るという判断ができるわけです。そういった意味で、「検索意図と対応ページの明確化」はLP作りの出発点であると言えます。
ポイント2.スムーズに答えが見つかるコンテンツ作り
検索意図と対応ページを明確にすることができたら、次はそれに基づいたページの構成を決定し、それらページ内のしかるべき場所に配置していくことになります。その際に非常に重要なことは「スムーズに『答え』が見つかるコンテンツ構成」です。
『答え』とは自然検索で流入したユーザーが欲しい情報のことです。ユーザーはページに来訪する際、ページ内のコンテンツが自分の欲しい情報を提供してくれているという期待を持っています。
そのため、主に以下の2つのポイントに配慮して、ページの構成を考える必要があります。
- 検索結果上でスニペットを見た際に「欲しい情報がありそう」と期待できるか
- 期待を持ってクリックした際、欲しい情報(=答え)に簡単にたどり着けるか
「欲しい情報がありそう」と期待できるか
スニペットでユーザーの検索意図に応えることが重要です。そのためには、ターゲットクエリを分析し、ユーザーの期待をあぶりだし、それをスニペットの基になるtitleやdescription(以下TD)などに反映する必要があります。
例)自社ブランドEC VS 他社マーケットプレイス
- クエリ「商品ブランドB」で競合
- 「商品ブランドB」は比較的単価の高い商品ブランドで、非正規品が出回っている
この場合、「商品ブランドB」というクエリには、単純な「商品情報」ではなく、「正規品の商品情報」が欲しいという期待が隠れている可能性があります。TDに「公式サイト」等と入れて、スニペットにそれを反映することができれば、クリック前のユーザーに「期待」を持たせることができるかもしれません。
このように、クエリの背景にどのような期待があるかじっくりと考えてみることが重要です。
欲しい情報(=答え)に簡単にたどり着けるか
これは、ユーザーが期待する情報を、ユーザーにストレスを与えることなく提供できるかということです。そうしなければ、ユーザーの離脱を招く可能性が高まります。
上述した通り、ユーザーは検索結果上のリンクをクリックする際、探している情報(=答え)があると期待しています。しかし、それらをスムーズに見つけることができなかった場合、そのまますぐに離脱し、SEOを行う実質的な意味がなくなってしまう可能性があるのです。
具体的には以下のような点を考慮に入れていただければと思います。
▼「答え」にたどり着けるまでの距離
- ユーザーの欲しい情報がファーストビュー、もしくはそれに近い位置にあるか
- または、アンカーリンクなどでスムーズにたどり着けるようにしているか
▼情報量
- ページの訴求軸とズレた情報(ノイズ)が発生していないか
- 情報過多になっていないか(例:1ページあたりに掲載されている商品数が多すぎないか)
▼閲覧/操作性
- フォントの大きさや行間の幅が適切か
- その他閲覧/操作を困難にする要素はないか(例:行と行の間に突如バナーが表れて、読んでいる箇所のズレが起こっていないか)
これらのポイントを満たすことができれば、ユーザーに大きなストレスを与えることなく、SEOによって呼び込んだ流入を意図せぬところで失わないで済みます。
まとめると、
- ランディング前:ユーザーが欲しい情報があることをスニペットで期待させる
- ランディング後:期待にスムーズに応えるコンテンツを提供する
ことが重要です。
補足:突如現れるバナーはランキングにも影響する!?
上記「その他閲覧/操作を困難にする要素」の一例として挙げた「行と行の間に突如バナーが表れて、読んでいる箇所のズレが起こっていないか」ですが、このような事象は生身のユーザーのUXを損ねるだけでなく、今後ページのランキングに影響する可能性が高いです。
というのも、これはGoogle社が「ウェブに関する主な指標レポート」で説明している「CLS」に関わる問題であり、2021年6月よりランキングシグナルとして使用されるとされているためです(2021年3月時点)。
CLSとは平たく言うと「ページ閲覧の際に(バナーなどの追加的に表れた要素により)視覚的なズレがあわらわていないかを指標化したもの」です。
Google社は実際のユーザーのよりよい経験を最重要課題の一つとして挙げており、CLSのように定量化できるようになったUX関連の指標があれば、今後もランキングシグナルとして取り入れられるようになると考えられます。
これまでUXが実際にランキングシグナルにかかわることは限られていたのですが、今後定量測定できるものから、シグナルに追加適用される可能性は充分に考えられます。
最後に
これまで書いてきたとおり、ユーザーの欲しい情報にまず答えることがLPづくりの大前提です。そのため、その基となる検索意図の分析や対応ページの選定が重要になります。
弊社プリンシプルではSEOコンサルティングの一環として、コンテンツマーケティングコンサルティングを提供しており、このサービスは主に、
- キーワード(クエリ)マーケティング戦略策定・KPI設計
- コンテンツマップ(計画書)
- 効果測定と定期レポート・改善コンサルティング
- ライティング支援
から成っています。
この記事で解説した検索意図分析や対応ページ選定はもちろん、その他幅広くお客様のコンテンツ施策の支援をさせて頂いています。詳細はこちらからご確認いただけますので、もしよろしければご一読くださいませ。