2020年1月にGoogle Analytics SDKのデータが全てアクセス禁止になって以降、Firebase向けGoogle Analytics(以下、「Firebase Analytics」)を導入しているアプリが増えてきたように思います。

Firebase Analyticsは、Firebaseというアプリ向けmBaas型の開発プラットフォームに内包されている一機能です。Firebase Analytics単体での利用も可能ですが、収集したデータをアプリ改善に活かしたい場合には、他機能と組み合わせて利用することが可能です。

本記事では、

  • Firebase Analyticsデータを連携して行えること
  • WebビューアプリがFirebase Analyticsを導入する場合の注意点

等に触れながら、Firebase Analyticsデータの利活用方法についてご紹介いたします。

Firebase Analyticsデータを活かせる3つのおすすめ機能

以前、「Firebase AnalyticsとGoogle Analyticsの計測項目の違い」でもご紹介しました、下記3つの機能が活用手段として優れています。

おすすめ機能① In-App Messaging

In-App Messagingはアプリ内でメッセージを配信する機能です。メッセージでは、画像だけを配信したり、リンクを設定したCTAを設けることも可能なため、アプリ内行動を活性化させる際におすすめです。

全ユーザーまたは特定の条件に一致するユーザーにのみ表示させることが可能です。一部のユーザーにのみ表示させたい場合には、バージョンや言語、国でのセグメントの他、「Firebase向けGoogle Analyticsのオーディエンスとは?特徴や作成方法をご紹介」でご紹介した特定のオーディエンスに表示させる、等が可能です。

メッセージ配信方法の詳細な条件指定項目には、配信期間や、メッセージを表示させるトリガー、フリークエンシーの制限などがあります。

おすすめ機能② Cloud Messaging

Cloud Messagingは通知メッセージを配信する機能です。

基本的な条件指定は、In-App Messagingと同じですが、Cloud Messagingでは定期的に配信することが可能です。

短期間の間に同じメッセージを複数回配信することは、ユーザーへの印象が悪くなる可能性があるので充分注意する必要があります。しかしながら、複数のメッセージパターンを作成した上でアプローチしていくことは手段としてあり得ると思います。

メッセージは、これから開催するキャンペーンの告知や、購入を行っていないユーザーに対してアクションさせる等のコンテンツとして利用するのが望ましいです。

おすすめ機能③ Remote Config

Remote Configはアプリのバージョンを更新せずとも、一部のアプリ内機能をアップデートできる機能です。

使われ方のイメージは、Googleオプティマイズと非常に似ています。

例えば新機能を導入する際、一部のユーザーをテストユーザーとしてアプリに公開し、その後様子を見ながら段階的な実装をする際に有用です。

A/B Testing機能も便利

上記3機能は、全てA/B Testing機能と連携することが可能です。

A/B Testingは名前の通りA/Bテストを行う機能で、配信対象ユーザーと配信比率の設定、バリエーションとCVの設定等を行います。

各機能単体でもユーザーのセグメントはできるものの、より比較・調査をしたい場合はA/B Testingも併用していくのが望ましいです。

Firebase Analytics導入での切り分けポイント

ご紹介した機能とFirebase Analyticsデータを活用することで、よりアプリの改善を目指していくことは可能ですが、本当にFirebaseの各機能を導入すべきかの判断ポイントとして以下のような2点が挙げられます。

切り分けポイント① 開発基盤をどこにおくのか

アプリを構築する上で、Firebaseに主としていくのか、というのが最初の判断ポイントです。

繰り返しになりますが、Firebase Analytics単体でも利用可能なので、他ツールでメッセージ配信をする等という選択肢もあります。

主軸をどこにおくのか、既にリリースしているアプリならFirebaseへのリプレースは現実的に可能なのか等をエンジニアと検討していく必要があります。

切り分けポイント② 分析レポートのカスタマイズを視野に入れられるかどうか

Firebase Analyticsは、通常ネイティブビューへの導入が多いですが、ご紹介したようなデータを活用するための機能と連携することを目的にWebビューにも導入することが可能です。

その際比較となってくるのが、Web向けGAFirebase Analyticsの標準レポートです。

Web向けGAは、自動で生成される標準レポートの種類が豊富であり、尚且つカスタムレポートや、データポータル等のBIツールにも接続したレポートのカスタマイズ手段のハードルが低いです。

Firebase Analyticsの標準レポートは、標準レポートの種類が少なく、またカスタマイズするにしてもBigQueryと接続する必要があります。

Firebase AnalyticsとGoogle Analyticsの計測項目の違い」でもご紹介した通り、Firebase Analyticsデータはイベントベースでの集計になる為、Web向けGAのデータと揃えてアプリデータを見るとなった際にレポート構築でWeb向けGAよりも工数がかかってしまいます。

レポートのカスタマイズはWebビューに限らずFirebase Analyticsの導入を検討する段階で考えなければならないタスクの為、自社にとって最も適しているのはどの方法なのか、専門家に相談だけでもしてみて良いのではと思います。

まとめ

本記事ではFirebase Analyticsデータの利活用方法についてご紹介しました。

最後の切り分けポイントではマイナス部分についてお話しさせていただきましたが、アプリ内データを用いてアプリ改善をしていく為に、各機能のSDKを導入していただくのは非常にメリットがあると思います。

改善方法や改善点の見つけ方等、お悩みがある際にはぜひお問い合わせよりご相談ください。

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Ray

2017年にDMM.comに入社し、Google アナリティクスをはじめとしたGoogle製品の社内統括と設計に従事。元Google アナリティクス公式エキスパート。

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