今回は、
1)概念は分かるけれどもウェブ担当者としていざ取り組もうとすると取っ付きにくい構造化データと、
2)Googleの現在の推奨記述方であり、実装を簡単・身近なものにするJSON-LD
についてお伝えします。
構造化データは、実装が即ちランキングシグナルに繋がるものではありませんが、短期的なGoogle検索結果のリッチ化(リッチスニペット)によるCTR向上だけでなく、その「検索エンジンにテキストの意味を伝える」という構想から長期的には様々な影響を享受できるものと考えられます。
構造化データとは
構造化データをごく簡単におさらいしましょう。構造化データは、狭義には、検索エンジンにテキストの意味を伝えるためのマークアップ記法により記述されたソースコードのことです。
その記法は、現在は2011年に発足したschema(schema.org)というプロジェクトの定めに則ることが求められていますが、「コンピュータにテキストの意味を伝える」という構想自体は20年前から存在したとされています[*1]。
意味を伝えるとは、例えば商品詳細ページにおいて、単なる文字情報と数字情報に過ぎない[商品名][価格(○○円)]を、「このテキストは[商品名]だよ」「この数字は[この商品の価格]だよ」と検索エンジンに伝えるということです。
この振る舞いによって意味を持った情報がインデックスされ、関連するクエリが検索された時、検索結果に「意味を踏まえた、より細かい情報」が表示されることになります。これがリッチスニペットで、具体的には検索結果に[商品の金額]を表示してくれたり、[口コミの数]や[評価数を星の数]で表してくれたりします。
[*1]https://www.slideshare.net/rvguha/sem-tech2014c
放置できない構造化データエラー
日々PDCAを回すSEO担当者にとって、構造化データとの付き合いには2つのステップがあります。
それは、
1)エラーを潰すことと、
2)構造化データをあるべき姿へ実装を行うこと
です。
Google Search Console(以下「GSC」)には構造化データの実装状況をチェックできるツールが備わっていますが、中身を確認してみると「エラー」が表示されているのを見つける事があるでしょう。
構造化データ実装の目的を「CTRを上げるためのリッチスニペット実現」とする場合、エラーを見つけても「リッチスニペットの実現はランキングシグナルとはならない」=「エラーのためリッチスニペットが実現しなくてもランキングに影響がない」として、実害なしと捉えてしまいそうになります。
しかし、逆は必ずしも真ではありません。構造化エラーのあるページはクローラーを遠ざけ、結果的に評価を下げることに繋がります。これは得てしてエラーの大量に出ている大規模なサイトほど、受けるダメージが大きくなります。
エラーが大量な場合は、エラーの解消とリッチスニペットの新たな実装を一度に行おうとせず、ステップを踏んで改修をしていく事が誤りなく望ましいです。
簡潔な実装方法としてのJSON-LD
schemaにはmicrodata、RDFa、JSON-LDという構文の規則があり、記述前に定める必要があります。構造化データの取っつきにくさは、概念もさることながら、唯一構造化データの当初からサポートされていたmicrodataに見られる「既存のHTMLを改変しなければならない」ことだと言えます。
エラー修正はもとより、ゼロから記述するために既存のHTML、<span>要素や<div>要素などに手を加えなければならないという点は、取り組みを躊躇させるのに充分な理由でした。
2013年からサポート開始されたJSON-LDは、既存のHTMLをシンプルに保ったまま、追記という形で構造化データを実装する事ができます。
ソースコード内のどこでも記述が可能な点も便利で、JSON-LDは現在Googleにもschemaの実装に推奨されています。microdataと併存させることもできますので、既存のmicrodataエラーはmicrodataで修正し、新たに実装する箇所をJSON-LDで実装するという手順が現実的には良いでしょう。
検証ツール
それでも取っつきにくく感じる場合は、GSCに実装されている構造化データのライブテストツールを用いて、実装した構造化データが正しいかどうか確認する事ができます。
GSCにログインせずとも、オープンな「構造化データテストツール[*2]」に該当のURLを入力することで現状のソースを呼び出し、手元で修正、テストいただけます。
[*2]https://search.google.com/structured-data/testing-tool/u/0/?hl=ja
まとめ
構造化データの実装は、現在のところランキングシグナルではありませんが、検索エンジンに意味を伝えるというその構想から今後はSEOに直接的に影響してくることも考えられます。
エラー解消、リッチスニペットと段階を踏み、JSON-LDを活用しながら構造化データの実装を適切に行ってください。