Google広告におけるショッピング広告の他、さまざまな業種で動的リマーケティング広告が行われるようになり、広告運用でデータフィードを扱う機会が増えてきました。
そんなデータフィードですが、広告運用以外の目的で利用している方を今まで見たことがなく、とても勿体ないと考えています。そこで今回は広告の目的のために準備したデータフィードを広告以外で利用している実際の活用例をいくつか紹介したいと思います。
データフィードとは
データフィードは、各媒体ごとに掲載されている商品情報を、自動的に最新のものへ更新してくれる一連の仕組みです。
※詳細は、弊社ブログ「ビジネス成長に寄与するデータフィード活用のすすめ」をご覧ください。
本記事では、広告運用のためにみなさんが利用しているデータフィードを他の用途にも活用する例を紹介したいと思います。
データフィードの活用例
活用例① Googleアナリティクスにフィードをインポート
データフィードの多くはCSVファイルで生成されています。このCSVファイルをGoogleアナリティクスのデータインポート機能を使ってインポートすることを考えてみましょう。ファイル形式は全く同一ではないので、データフィードを加工する必要があります。しかしながら、データフィードから必要な列を取り出して、列名を変更するなど簡単な加工のみでインポートすることができ、Googleアナリティクスの情報を増やすことが可能です。
拡張eコマースを利用しているが、商品ディメンションに必要な値を入れることができなかった、といったケースでは、この手法は強力です。Eコマースであれば、在庫状況や売上原価、ブランド、年齢層、色、性別、商品グループIDなどをカスタムディメンションに取り込むと良いでしょう。他にも、データフィードにお届け日数ラベルや最長発送準備時間や最短発送準備時間を設定している場合には、Buy to Detail率やCart to Detail率に大きな影響を及ぼす項目と考えられるため、カスタムディメンションに取り込みたいところです。
もちろん、Eコマース以外の業界でもデータフィードをGoogleアナリティクスに取り込むことで、分析の幅が広がります。
活用例② 日次のフィードをBigQueryに格納し、BIツールで活用
データフィードで広告出稿を管理している業種は、Eコマース、人材業界、旅行業界など多岐に渡ります。これらのほとんどは、「管理している商品・サービスが多岐に渡っている」「商品・サービスの入れ替わりや情報の変更が多い」という特徴があります。
多くの商品・サービスの時系列の変化を追いやすくするために、データフィードの内容をそのままBigQueryに入れることで、ログを残すことが可能です。
そして、BigQueryに日々蓄積される商品データをデータスタジオやTableauで可視化することで、日々の商品単価の変化や、在庫状態の変化などをモニタリングしやすくなります。
さらに、プリンシプルではBigQueryに蓄積されたデータフィードの在庫データとGoogleアナリティクスの商品閲覧データを統合した「商品の欠品による機会損失算出ダッシュボード」のサービスも展開しています。
機会損失シミュレーションのダッシュボード例:
Webマーケティングにおけるデータ活用
プリンシプルでは、データフィードだけでなく、クライアント様自身が保有するデータや、各種Webマーケティングツールが蓄積したデータ、そしてサードパーティーデータを組合せた高度なWebマーケティングの推進に取り組んでいます。
下記は、実際にプリンシプルで取り組んでいるクライアント様自身が保有するデータや、各種Webマーケティングツールが蓄積したデータ、そしてサードパーティーデータを組合せた様子を図式化したものとなります(ただし、現在未実施で今後実装予定のものを含んでいます)。
このように、BigQueryをマーケティングの中枢に構え、さまざまなデータソースからデータを取得しています。Googleアナリティクスや広告データ、Search Consoleのデータをデータベース化し、レポートに活用する企業は増えましたが、それ以外にも、
- Googleマイビジネス内の店舗データやレビューデータ
- 検索エンジン向けに作成しているサイトマップXML
- サイト内のブログ系コンテンツのOGPデータ、Schema.orgのデータ
- オフラインの店舗での購入データ
- データフィード広告に用いているフィードデータ
などに取り込んでいます。
これらの取り込んだデータは、SQLによって加工・統合を行った上で、レポート以外の分野でも活用しています。
例えば、Googleアナリティクスには、商品フィードの情報やOGP・Schema.orgのデータを取り込み、カスタムディメンションに反映させています。また、オフラインの店舗での購入データをMeasurement Protocolを使ってGoogleアナリティクスにインポートさせることで、店舗での購入も含めてGoogleアナリティクスで分析できるようになります。
広告では主に3つの活用を行っています。
1つ目は、動的検索広告用のページフィードの作成です。サイトマップXMLデータにより、サイト内の全ページデータベースが容易に作れることと、それにSearch ConsoleのデータやGoogleアナリティクスのデータを掛け合わせることで、掲載順位や流入状況、流入後のパフォーマンスのデータを元に、入札をコントロールすることが可能になります。これは、現在Google広告だけでなく、Yahoo広告においても実現が可能になりました。
2つ目は、さまざまなデータをビジネスデータにインポートすることで、広告カスタマイザにおけるクリエイティブに反映させることです。例えば、Googleマイビジネス内の店舗データをクリエイティブに反映させたり、ビジネスによってはOGPデータを活用することも可能です。
3つ目も広告クリエイティブへの反映ですが、今度はレスポンシブ・ディスプレイ広告を動的に生成することです。レスポンシブ・ディスプレイ広告の作成には、見出しや説明文、画像、ロゴなどさまざまなアセットが必要です。記事コンテンツにランディングする広告であれば、これらのアセットを、Webサイト上のOGPデータやSchema.orgの情報から生成することが可能です。そして、Search ConsoleやGoogleアナリティクスに蓄積されたパフォーマンス・データを元に、条件を設定し、どのクリエイティブに対する広告を生成するべきかを決定することで、パフォーマンスの低いコンテンツに対する広告出稿を自動で抑制することが可能になります(下図参照)。
もちろん、Googleアナリティクスや広告以外の場面でもこれらのデータを活用することは可能です。例えば、これらのデータを使って、メルマガコンテンツの一部を自動生成したり、マーケティング・オートメーションやWeb接客ツール、レコメンド・エンジンなどにも活用できます。
まとめ
今回、データフィードを徹底的に活用するための活用例を考え、さらにその延長線上にあるデータ活用を行った近未来的なWebマーケティングの概略を説明しました。
今後のWebマーケティングはさらにテクノロジーが発展し、データをどこまで活用することができるかがポイントになってくると考えられます。本記事を参考に、Webマーケティングへのテクノロジー活用を考えてみませんか。