本記事で触れているGoogleアナリティクスは、ユニバーサルアナリティクス(UA)を前提としています。
GA4を対象とした記事ではございませんので、ご注意ください。

はじめに

こんにちは。プリンシプルの小林です。今回はGoogle広告で利用可能なリマケリストについてまとめてみました。

使用出来るリストには種類とそれぞれ配信が出来るネットワークと最低限のボリュームがあります。私自身もいざ利用しようとすると「ボリュームが足りない…」「使えると思っていたリストがこのネットワークでは使えない….」といった事象に何度かめぐりあったので、これを機に備忘録的にまとめておきたく本ブログを執筆しております。

ゆえに、各リスト細かいテクニック云々よりも実務でよく使うリストのみに限り解説とまとめていければと思います。

【目次】

  1. リマケとリタゲ
  2. Google広告のリマーケティング
  3. リマケリストについて

そもそもリマケとリタゲってあるよね?

リマケとリタゲ
これらは基本的に同義だと解釈しています。どちらもユーザーが閲覧したコンテンツに応じた広告を表示する「おっかけ広告」という位置づけであることに変わりません。

リマーケティングはGoogle広告で使う用語、リタゲはYahoo!広告で使う用語という違いのみです。今回はリマケ、つまりGoogle広告のリマーケティング広告に使われるリストの種類と配信ネットワーク、そしてボリュームの概念についてまとめていきたいと思います。

Google広告のリマケ

リマーケティングとは、以前に自社/お客様のウェブサイトやアプリを利用したユーザーと繋がる方法です。1

リマーケティングを使うことですでに広告主の商品やサービスに興味があるユーザーに対し戦略的にアプローチすることができるようになります。

今回は各リマーケティング手法に関して詳細は触れず、実際に「どういったリマーケティングリストがリマーケティングに使えるか」にフォーカスしていきます。

オーディエンスマネージャー

オーディエンスマネージャーとはGoogle広告のリニューアル版で追加された機能でオーディエンスリスト、オーディエンスソース、オーディエンスインサイトを一元管理出来る場所です。

リマーケティングを開始するためには、リマーケティング広告を配信する対象ユーザーのリストが必要になります。

Google広告ではこれらを「オーディエンスマネージャー」で管理しています。オーディエンスマネージャーには「オーディエンスリスト」「オーディエンスインサイト」「オーディエンスソース」が存在しています。それぞれの役割は次の通りです。2

  1. オーディエンスリスト:追加したオーディエンスソースに基づきリマーケティングリストとしてターゲットに設定するユーザーリストを作成・管理する場所です。
  2. オーディエンスインサイト:オーディエンスリストのユーザーがどのようなユーザー属性(アフィニティカテゴリ、購買意欲の強いユーザー層、年齢、性別、地域、端末など)で構成されているかを確認するための機能。[詳細はこちら]
  3. オーディエンスソース:リストに溜めるデータの収集元を追加していきます。これに基づきリマーケティングリストが作成されます。追加できるソースは、Google広告タグ、Googleアナリティクス、YouTube、Google Play、アプリ分析(FirebaseやSDK)、顧客データ(顧客の連絡先情報)です。

リマケリストについて

Googleによると、リマーケティング リストとは、”ウェブサイトにアクセスしたユーザーやアプリユーザーのリストです。”と定義しています。3これらのデータは、サイトやアプリに追加されるコード スニペットによって収集されます。リストを作成する際には、ユーザーをリストに追加するルールや、ユーザーをリストに保持しておく期間を指定します。リマーケティングリストを作成したら、キャンペーンの広告グループのターゲット設定に追加して、そのリストのユーザーに広告が表示されるようにします。4

上記のようにタグの設置以外にリマケリストを作成するためにはルールやいくつかの制限があります。

それらについて見ていきましょう。

リマケリストのタイプとネットワーク別対応状況と配信サイズについて

リマケリストの種類と利用可能な配信ネットワークとリストボリュームまとめ

上の図は、リマーケティングリストのタイプ別配信可否とそれぞれのネットワークに配信するための最低限要件を一覧にしたものです。

それでは表の解説をしていきます。

リストのタイプはアカウントのオーディエンスマネージャー内より追加出来るオーディエンスリストのことです。データソース(オーディエンスソース)からどのようなリストを取り出すか、をイメージしてください。

リマケリストの種類と利用可能な配信ネットワークとリストボリュームまとめ

リストの対応状況は、選択したリストで収集したリマケリスト情報をどのネットワークで使用できるかを記しています。
例えば、リマケリストでアプリユーザーを追加した場合、そのリストは検索ネットワークとGmail広告でのリマーケティングでは使えないということになります。

このようにせっかく作ったリマケリストも場合によっては運用しているキャンペーンで利用できないこともあります。
リマケリストがキャンペーンで機能しない場合はまとめると大きく二つあります。

  1. キャンペーンの設定で選択しているネットワークで、十分な数のユーザーがリストに登録されていない場合。
  2. キャンペーンの設定で選択されているネットワークに、リストのタイプが対応していない場合

以上の場合は、仮にリストが存在しても非対応/もしくはボリューム不足で使用できない場合があります。

これらはリマケキャンペーンを開始する前に十分確認しておきましょう。

リスト作成の際にはルールの設定も重要です。ユーザーをリマケリストに追加するための条件である「ルール」を使うことで、Google広告が作成するデフォルトのリスト以外にカスタマイズされたリマケリストを作成することができます。

例として、次のようなケースを考えてみます。

  1. 【Case:1】季節限定のキャンペーンページ(summer-sp-travel)のページにアクセスしたユーザーをリマケリストに作成する場合、
    「URL[次を含む]https://example.com/airline/summer-sp-travel」
    というルールを設定します。
  2. 【Case:2】*複数のルール(条件)を設定する場合
    「URL[次を含む]jacket」および「URL[次を含む]shirt」および「URL[次を含む]sex=man」
    メンズのジャケットとワイシャツページを踏んだユーザーに向けたルールを設定。

リストのステータスについて

ターゲットネットワーク リストに必要なユーザー数
Googleディスプレイネットワークに配信するには 過去30日間のアクティブユーザー数が100人以上
Google検索ネットワークに配信するには 過去30日間のアクティブユーザー数が1000人以上
YouTubeに配信するには 過去30日間のアクティブユーザー数が1000人以上
Gmailに配信するには ディスプレイネットワークで過去30日間のアクティブユーザー数が100人以上

リマケリスト広告の配信の必要要件は、上記の図でも記しましたがターゲットネットワークにより異なります。

タイプだけでなくリストに最低限必要なユーザーのボリュームも必要になります。

もしリマケキャンペーンを開始し、リストを作成したのに配信されない!と思われた際は、ボリュームが足りているかも確認してみましょう。

また100人、1000人程度のボリュームでは配信されたとしてもフリークエンシ―が上がっていきリーチが増えなくなる可能性があります。

リストのステータスについて

リマケリストを作成したらステータスとして[クローズ]か[オープン]のどちらかを指定でき、このステータスはいつでも変更できます。ステータスの変更は、イベントスニペット(短いプログラミングコード)やリストの設定に影響することはありません。ただ[クローズ]のまま有効期限を極端に短くするとリストが小さくなりすぎてターゲティングに使えなくなることがあります。

  1. クローズ:リストのサイズがそれ以上増えず、ユーザーが追加されないことを意味します。イベントスニペットは引き続き有効ですが、このステータスのリストには追加されません。ターゲティングも引き続き有効だが、対象ユーザーが増えることはありません。
  2. オープン:リストのサイズが今後とも増えることを意味し、継続的にリストにユーザーが追加されていきます。キャンペーンや広告グループのターゲットとして540日以上使われなかったリストは自動的にクローズステータスになります。

リストの有効期限について

ユーザーをリストに保持しておく期間を指定できる。有効期限が切れると、ユーザーはリストから削除される。ウェブサイトに再びアクセスしたりアプリを使用したりすると、経過時間のカウントがリセットされ設定した有効期間のカウントが新たに開始される。その場合、ユーザーはリストから削除されない。適用される法律について、期間の制限に準拠する責任は広告主側にある。

ディスプレイネットワーク/検索:既定の期間30日,最長540日

リストに保存され始めたあとで有効期間を変更すると、新しい期間は現在リストに追加されているユーザーと今後リストに追加されるユーザーの適用される。

例えば60日に設定していたものを30日に変更する、31日~61日目に追加されたユーザーは削除される。

【無効なリスト】
ターゲティングで540日以上使われていないリマーケティングリストは、自動的に[クローズ]ステータスになる。[クローズ]になるとリストにユーザーは追加されなくなる。

RLSA向けリストについて

RLSAとは、検索広告向けリマーケティングのことで、広告主様のサイトを訪問したことがあるユーザーに向けて検索広告をカスタマイズする機能の事です。該当ユーザーがGoogleや検索パートナーのサイトで検索を行っている時に、そのユーザーにあった広告を表示したり、入札単価を調整したりできます。7

【活用方法】

  1. リマケリスト内のユーザーを対象に、入札単価を調整する。例えば過去30日間に広告主様のウェブサイトを訪問したユーザーに対し、入札単価を25%引き上げる、など。
  2. 広告主様のサイトを訪れたユーザや訪問履歴のあるユーザーに対し、通常とは異なるキーワードを選びます。これで売上増加にも繋げる。例えば、購入履歴のあるユーザーに対しては、通常であれば競争率が高くなりがちな一般的なキーワードにも入札する(それでもメリットがある)

自動生成リストについて

リマケリストを作成して、いざ配信しようとオーディエンスリストを確認してみると設定した覚えのないリストが作成されていることはありませんか?

例えば下記の図のようなリストです。

リマケリストの種類と利用可能な配信ネットワークとリストボリュームまとめ

リストのタイプ列に「自動生成」と書かれていることが分かります。

これらのリストはリマケキャンペーンを作成すると「すべての訪問者」「ショッピングカートを放棄したユーザー」といったリマーケティングリストがデフォルトで作成されます。8

デフォルトのリスト 説明 タグ情報
すべての訪問者(All visitors) 過去にお客様のサイトやアプリを訪れたユーザー サイトやアプリに実装したリマケの全パラメータの全ての値に基づき作成される
CVに至ったすべてのユーザー(All converters) ウェブサイトでCVに至ったすべてのユーザー CVトラッキングタグに基づき自動的に作成される。CVトラッキングを設定していないとこれは作られない。
Google広告の最適化リスト(Google Ads optimized list) このリストは複数のオーディエンスソースからオーディエンスを取得して、一つのリマケリストに統合する組み合わせリスト これを作成するには、[オーディエンスソース]ページで少なくとも1つのデータソースを選択する必要がある

上の図は、業種を指定しないデフォルで作成される通常の自動生成されるリマケリストです。

これはウェブサイトにリマケタグを実装すると、リストのルールや条件に基づきリマケリストにユーザーが追加されます。なので、このタグに設定するカスタムパラメータの名前と値を正しく使用することが重要になります。

また、これとは別に「特定業種向けのデフォルトリスト」というのもあります。9

「特定業種」とは、動的リマーケティング10で扱えるカテゴリのことで教育、フライト、ホテルや賃貸物件、求人、地域限定サービス、不動産、小売、旅行、その他(カスタム)を指します。動的リマーケティングを使用することで、ユーザーが過去にサイトで閲覧した商品やサービスを含む広告を表示することができます。ユーザーごとにカスタマイズされたテキストを表示し、見込み顧客の高いCVが期待できます。
動的リマーケティングのリストに関しては今回は割愛させていただきます。
詳しくはこちら

GAのデータをリマケに活用するためのポイントについて

これまでご紹介したリストはGoogle広告の管理画面やリマケタグを設置したリストの作成をご紹介しました。

ここからは番外編ですが、使用頻度の高いGoogle Analyticsを使用したリストについて解説していきたいと思います。

Google Analyticsでオーディエンスを作成すると、Google広告に利用することができます。

GAの機能を使い、例えばサイトでセッションを開始、アプリを開く等の条件から、特定の商品を利用したなどの条件を指定しリストに溜めることも出来ます。11

GAで作成するユーザーリストを定義する際に事前設定のユーザーリストの定義から選択することが出来ます。12

Googleの検索広告とディスプレイ広告でのGAからのリマケリストの扱いについて注意事項があります。

GAで作成するユーザーリストはGAのサンプリングと処理によってリストのサイズに影響がでます。13

また他にもGAを活用したRLSAは、通常のRLSAとほぼ変わりませんがGoogle検索広告のリマケリストが1000件以上のCookieと紐づけられている必要があったり、Googleディスプレイネットワークのユーザー属性ディメンションである年齢、性別、インタレストカテゴリが含まれるとRLSAとしては使用できない、等の制限があります。14

まとめ

通常のリマケリストに加えルールをカスタマイズすることでより複雑なリストを作成することが出来ます。

また商材によっては動的リマーケティングにより個々のユーザーにカスタマイズされたリマケリストを作成し、見込み顧客をCVに繋げやすくする施策もご紹介しました。

Google Analyticsが使用できれば、さらにユーザー属性を限定したリストを作成することもできます。

これらを商材とユーザーに照らし合わせて適切に使い見込み顧客をCVへと導いて上げましょう。

もしお困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

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小林航太朗

青山学院大学卒。ユーザー・クライアント目線のマーケティング施策、コンテンツマーケティングなどを得意とする。

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