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インテリジェント・パーソナル・アシスタント(IPA)が、インターネットにおける情報の検索・消費方法を根本的に破壊してしまうかもしれない。
さまざまなトレンドやテクノロジーが収束した結果 、人がビジネスと関わることのできる新しいインターフェースが誕生した。この影響は劇的だ。今後は長期的なマーケティングや事業計画にIPAを考慮していかなければ、2000年初頭にウェブサイトは必要ないと明言した人達と同じ道を辿ることになるかもしれない。
(本記事はseo moz様のWill Intelligent Personal Assistants Replace Websites? の翻訳記事になります)

ウェブサイトはビジネスのAPIである

インターネットが利用され始めたばかりの頃までを振り返ると、ビジネスの主要インターフェースは電話だった。取引先に電話をかけて、どのような在庫があるのか、いつ開店するのか、予約席は空いているのかなどを確認してから、商品を発注したり、行き方を聞いたり、予約を取ったりしていた。この頃は電話がビジネスのインターフェースであり、電話回線や受付の人が“API”、つまり人がビジネスと関わる手段だった。
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インターネットが成熟してその勢いが増すと、以前は電話で行っていたほとんどのことを 、ウェブサイトで行えるようになった。インターネットは情報を集めたりお金を稼いだりすることに使えるようになり、ウェブサイトはユーザーがビジネスと関わることができる新しい“API”となった。それは「電話の死」を意味するわけではないが、以前は電話経由で行われていた依頼の多くがウェブ経由となり、また取引をしたい人にとっては(電話回線の空き待ちや、人と話す必要がなくなって)面倒臭さが減ることになったのである。
それ以来、ウェブのテクノロジーは改良され続け、その有用性も向上し続けているが、 「ビジネスと関わるAPI」という概念は基本的にそのまま残り続けている。

ハイテクの巨人5社ともインテリジェント・パーソナル・アシスタントを構築

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Google Now、Siri、Cortana、Facebook MなどのIPAアプリ、ならびに新機器であるAmazon EchoやGoogle Home、そして噂のApple Siri ハードウェアは、検索の方法や検索結果の使い方に多大な影響を与えようとしている。
新規参入のHoundやVivの例を鑑みると、インテリジェント・パーソナル・アシスタントはもはやスマートフォンの1機能という枠を超えて成長していることが明らかである。
この数年間、さまざまな新技術による、「検索」への影響について議論してきた。それらの多くが、パーソナル・アシスタントの台頭によって生まれたトレンドと考えることができる。

トレンド1:複雑化する検索

「キーワード検索」だけの時代が終わってかなり経過した。機械学習の改善のおかげで自然言語処理も大きく向上し、「会話型検索」がようやく実用可能になったということである。HummingbirdやRankBrainが、Google検索においてクエリの意味を理解し処理する上で欠かせない要素となっていった。
さらに、文脈にもとづいて検索結果を知らせる分野をリードするGoogle Nowによって、先行するクエリの進化という形で、われわれはImplicit signal (暗黙的な信号) を目の当たりにしてきた。
貢献した技術とトレンド:

  • 暗黙的な信号
  • 自然言語
  • 会話型検索
  • Hummingbird と RankBrain

このトレンドについて詳しく知りたい方は、Will Critchlow氏のこちらの講演ビデオを参照。

トレンド2:複雑化する結果

かつて青色のテキストリンクが10行だけ表示されていた検索結果は、現在ではナレッジグラフを含んだリッチなフォーマットとなり、検索結果の一部としてエンティティや直接的な答えが表示されるのも見慣れた風景となった。この事が意味するのは、Siriが登場して以来、ウェブ検索を行う代わりに、データに基づいて結果をアプリ内で提供する検索インターフェースが現れたということだ。一番古い例としては天気のクエリで、アプリ内でカードが立ち上がり、天気が確認できる仕組みになっていた。
会話型検索の台頭でついに複雑な複合クエリを理解することが可能となり、ソートやフィルタリング、検索の絞り込みをやり直してクエリの修正や拡張も行えるようになった。以前は人が検索結果をレビューして手作業で操作していたが、今では検索エンジンが探したコンテンツを(インデックスするだけでなく)エンジン自体が解釈し、あなたの意図に合った結果を表示してくれるようになったということである。
貢献した技術とトレンド:

  • エンティティ/ 直接的な答え
  • ファセット検索
  • データドリブンの答え

こちらに関連する各種トレンドの情報とビデオが収められているDistilled社のSearchscapeも合わせてみていただくと、より理解が深まるだろう。

トレンド3:ボット、会話型UI、オンデマンドUI

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最近になって、ボットへの関心の高まりとともに(特にFacebookのF8の発表以来)、多種多様な会話型UIに投資する企業が増えている。( こちらこちらの記事も参照。)
ボットと会話型UIは、自然言語処理とデータに基づいた答えの提示による恩恵をより受けやすい、新しいインターフェースである。
会話型UIは口頭および自然言語インターフェースにのみ限定されるのではなく、特定の状況下では「オンデマンドの」UIを提供することもできる。(上記の画像参照)
貢献した技術とトレンド:

  • 会話型UI
  • ボット
  • IPAインターフェース内のオンデマンドUI

トレンド4:サードパーティの統合

SiriやGoogle Nowの初版では、サードパーティデベロッパーの統合を可能とするオプションがなかった。
しかし、時間の経過とともにプラットフォームはオープン化され、そのようなアプリは現在、同一アプリのインテリジェント・パーソナル・アシスタント内で機能を提供できるようになった。Google Now、Amazon Echo、Cortana、そしてSiriはSDK(ソフトウェア開発キット)を提供し、サードパーティデベロッパーもプラットフォームに統合できるようになった。
誰もが次世代の検索インターフェースを活用できるチャンスが到来したのだ。

その影響とは?

検索への抵抗が減る(よりシームレスに検索できるようになる)

GoogleはGoogle Nowの研究や仕事内容の一部を(過小報告された)論文で発表した。それをGoogleの daily information needs studyと併せて読むと、以前は不可能だった検索を、ユーザーに使わせるように仕向けることがどれだけ大変だったかが分かる。
ユーザーが抵抗感なく複雑な検索クエリを使用することができるようになる、インテリジェント・パーソナル・アシスタント(そしてAmazon EchoやGoogle Homeのような「いつも聞いている」検索アプライアンス)は何をもたらすのか。
それは、今まで見たこともない検索クエリ群をこれから私たちが目にするということだ。だから、既存のウェブベースの検索とパイの食い合いになる、というよりも「IPAを用いた検索」という全く新しいタイプの検索が台頭してくると考えたほうが良いだろう。

ウェブランキングを迂回して、ただちにトップへ

パーソナル・アシスタントを使った検索が増え、パーソナル・アシスタントがインターフェースで直接回答を提示するようになると、ほとんどの検索が完全にウェブ検索ランキングを迂回するようになるだろう。サードパーティの統合が広まり、パーソナル・アシスタントが直接処理できる動的なクエリももっと増えるだろう。
(例えば、「どこでオデッセイ(映画:英語原題 The Marvin)が買える?」「ベルリンへのフライト」「ペパロニピザの注文」など)。
これは大きなチャンスだ。「古典的なSEO」で競合がいかに多くのリンクやすばらしいコンテンツを持っていようが関係ない。パーソナルアシスタントによってユーザーが「検索結果」を見ないようになれば、ユーザーの選択肢はIPAがお勧めするものだけになり、検索順位は関係なくなるのだから。

従来のファネルの圧縮;IPA経由のチェックアウト

個人的には、この部分がおそらくもっともエキサイティングで、ユーザーとビジネスへの影響という点で一番重要だと考えている。「ファネル」は時間をかけて様々な方法でモデル化されているが、一つ共通した方法があるとすればこうだ。
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検索は閲覧/チェックアウトのプロセスに分かれており、そのチェックアウトプロセスはウェブを介して行われる。アプリはこの従来の図に多少の影響を与えているものの、今のところ大きな変革を起こしてはいまい。
しかし、ディベロッパーが直接IPAに統合できる会話型検索/UIによって、以前はウェブサイトで実現していた検索のステップ(閲覧/チェックアウト)を同一インターフェースに融合させる大きな好機がもたらされる。すでにファネルが圧縮された例がある。
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Siriを使ったこちらの例では、近くで上映している映画を検索して特定の映画と映画館を選び、上映時間を選んだら、最後にFandangアプリへと誘導され、そこでクリックしてチケットを買うことができる。インテリジェント・パーソナル・アシスタントアプリのインターフェースを離れる前にチェックアウトプロセスまでほとんど終了している。最終ステップまで進み、パーソナル・アシスタント内で実際にチェックアウトするまでそれほど時間はかからない。
アプリモデルを介してインテリジェント・パーソナル・アシスタントにアプリを統合すること(つまり、パーソナル・アシスタントに何らかの機能を追加するアプリを構築すること)は現在普通に行われているが、アプリを自分で構築する必要なしに統合できるようになるまで、それほど多くの時間はかからないだろう。
インテリジェント・パーソナル・アシスタントがフレームワークと主要インターフェースを提供する日はそう遠くないはずである。

まとめ

インテリジェント・パーソナル・アシスタントは近年の検索技術の発展をもたらした。また、統合オプションが向上したおかげで、パーソナル・アシスタント内部で完結するエンドツーエンドのクエリ/処理がこれからも増えるだろう。
これからは一つのインターフェースの内部で、検索やデータの確認、購入などをすべて行えるようになるだろう。(すでに起こっているが)ウェブ検索を完全に迂回して、(1年以内に起こるだろうが)パーソナル・アシスタント内でチェックアウトまで完了して、ウェブサイトを迂回するようになるだろう。
IPAは確実に大きな好機となるが、(当初、携帯を過小評価したのと同様に)その影響を過小評価するのは簡単だ。もしアプリ構築の壁にぶち当たっているなら、インテリジェント・パーソナル・アシスタントに統合できるアプリに焦点を当て、再評価するべきだ。

コメント

今回は、IPAがもたらすWeb環境の変化、ということで上記の記事をご紹介しました。
こういった、新しい「情報へのアクセス手段」や「その情報を使ったアクション」は日に日に増えてくると思います。
そういった新しい手段に対する情報感度を高めておくことは当然重要です。しかし、それに囚われすぎた結果、ユーザー視点を失ってしまうことは本末転倒になると考えています。
これらの手段は、ユーザーにとってはあくまで「手段」であり、「目的」ではないのです。
Principleでは、ユーザーの動きやニーズをデータを元に「可視化」して、最適な戦略を立てるお手伝いをしています。
それらのデータから得られる知見は「手段」がいくら変わっても、ユーザーの「目的」を可視化して最適なものを届けるために必要なものだと考えています。
データを元にした長期的な戦略を考えたい方、ぜひ一度Principleにご相談ください。

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古澤伸一

東京大学在学中の2012年より東証一部上場企業にて自社サイトのWebマーケティングを担当。2015年よりプリンシプル社に参画。

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